都築響一 編, 小出由紀子 企画. 藍風館, 1994. Hardcover with dust jacket. 108pp. Text in Japanese and English. Size: 303x218mm.
みずのき寮で知的障害者に対する美術教育を30年実践してきた西垣籌一。生徒11名の作品をカラー図版で収録しています。
みずきの寮は、重度の知的障害を持つ使途たちの更正施設である。絵画教室が始まったのは1964年であった。古い鶏小屋にムシロを敷いて座り、八つ切り画用紙とクレパスで勝手気儘に色ならべをしたのがはじまりである。大部分が絵など描いたことがなく、初めて持ったクレパスに戸惑いながら、おそるおそる真白な画面を埋めてゆく様子は、悲しいとしか言いようのない消極的なものであったが、二枚目となると様子が一変した。目の前の白紙を自分の思うままに征服してゆく快感に満ちた逞しい線、強い色彩の乱舞となり、この時私は将来の明るい展開を予測したのである。破れたトタン屋根を鳴らして風が吹きぬける初秋のことであった。(本文より)
状態は、ジャケットにスレ、角に少破れ、背にヤケによる褪色有。本体表紙角に少打ち跡有。