EMPIRE, 2022. Softcover. 64pp. Text in English and French. Size: 297x210mm.
フランス発、2017年に創刊したグラフィックデザイン誌『レヴュ・フェール(REVUE FAIRE)』。本誌は、ヨーロッパ全体、殊にフランスにおいて、グラフィックデザインの形態と活動にまつわる分析に特化した批評的な刊行物が少ない現状を嘆き、鑑みて作られた。グラフィックデザインスタジオ「Syndicat」と出版社「Empire」を主宰するデザイナー・デュオ、サシャ・レオポルド(Sacha Léopold)とフランソワ・ハーヴェゲール(François Havegeer)によって創刊、15冊を1シーズンとして発行している。
第38号は、オランダのグラフィックデザイン界において巨匠と謳われるウィム・クロウエル(Wim Crouwel)とヤン・ファン・トールン(Jan Van Toorn)に焦点を当てて「A DEBATE」と題し、二者が1972年11月にアムステルダムの「フォードル美術館(Museum Fodor)」で行った有名な討論を取り上げる。この主観主義と客観主義による公開衝突は、デザイン文化において大胆かつ哲学的な対決の舞台となった。
舞台は1972年11月9日、アムステルダムの「フォードル美術館」。聞くところによると「煙たく、騒々しく、混雑し」ている中集まった聴衆は「頻繁に叫び」、その存在感を示したという。この熱狂的なアリーナの中心で、グラフィックデザイナーであり、グラフィックアーティストであり、タイポグラファーである二人、ウィム・クロウエルとヤン・ファン・トールンが邂逅した。彼らの声が届き、彼らの考えが重要視されるオランダという国での出来事だった。「出会い」や「対談」というよりむしろ「対立」、「論争」であり、「ディベート」として形容された本件は、1980年代における我々の学問分野の代表的なあり方を特徴づけるものであり、今日もなお響き続けている。(twelvebooks)
*新刊です。